December 06, 2010

20101206英語の理解

 これでは議論はできない。いったい大久保さんはどのようにして国際社会で発言したり、堂々と議論したりできるようになったのであろう。そこで、英語攻略法を披露してもらった。

 まずはTOEFLでなぜリスニングができなかったのかを考えた。そして、音では聞こえていても日本語と英語の語順が違っており、脳における情報処理の仕方が異なるという点に思い至ったという。例えば、「私は今日の午後、テニスをすることができない」という表現。英語では“I cannot play tennis this afternoon. ”となる。しかし、日本語の語順そのままに英語に置き換えると、“I this afternoon tennis play cannot. ”となる。

 大久保さんは英語のネイティブに、“I this afternoon tennis play cannot. ”と話しかけてみた。相手は呆気にとられている。当然と言えば当然だが、全く通じない。

 そこで、この語順の違いを自然に情報処理できるように脳を慣らさないと、いつまで経っても英語を理解できないというふうに考えた。そのために、まずは英語の語順に慣れることに力を注いだ。具体的には、日本語でも英語の語順で話してみるといった奇抜な発想だ。「私は できない することが テニスを 今日の午後」という具合だ。

 これによって、大久保さんは英語の語順に慣れていったという。だから、英語を勉強している人には「まず日本語でその語順で話してみろ」とアドバイスしているそうだ。苦手のリスニングを克服した大久保さんの現在のTOEICのスコアは985点(満点は990点)である。

語順に慣れれば、大意は分かる

 英語の語順で話す言語は、フランス語やスペイン語、中国語など多くが同じグループに属す。主語の後に動詞という構文である。

 これは全くの推測だが、一度違った語順に脳が慣れてしまえば、「変な情報」と脳が拒否せず、素直に受け入れるようになるのではないだろうか。だから、私は英語を覚えた後は、フランス語などほかのヨーロッパ言語が簡単に身についたのかもしれない。逆に、英語の会議に参加していると「頭が痛くなる」とおっしゃる方が多い。違った語順を聞いているうちに、脳が拒絶反応を起こしてしまっているのではないだろうか。

 私も米ハーバード大学に留学した最初の年は、授業中に眠くなるぐらい、本当にひどい疲労感に襲われていた。90分間の授業では、最後は集中できず、ノートもとれない状態になる。奇妙な語順と新しい単語を理解しようと、頭脳がフル回転していたのだと思う。そのうえに、新しい理論も学ばなければならない。

 日本からヨーロッパやアメリカでの国際会議に出張すると時差とともに、英語の情報処理というモードに頭をリセットしないといけない。この意味では、日本人は二重苦を味わうわけである。

 それでもいったん、英語の語順に馴れてしまえば、一つひとつの単語が分からなくても、大体の内容はつかめるようになる。もし日本語であれば会話の途中にひとつやふたつぐらい、知らない語彙が出てきても、全体の流れからなんとなく想像し、あまり気にしないだろう。それが英語の場合は一つ分からない単語があると、そこですべて理解できないと感じることもある。語順の違いに戸惑ってしまい、文意を解釈する力が弱っているのかもしれない。

Posted by yuzo at 06:31 P | from category: Main | TrackBacks
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